ゼンハイザーのHD 560Sの評判は、価格を抑えた開放型ヘッドホンとしては完成度が高いという声でおおむね一致しています。2021年4月28日に発売されたこのモデルは、直販価格27,500円、公式ストアでは29,920円という価格帯にありながら、上位機種に迫る音場表現と解像感が評価の中心になっているようです。ドイツの老舗ブランドが手掛ける開放型ヘッドホンのなかでも、これから本格的にリスニングを始めたい人や、モニターライクな音を求める人の入り口として名前が挙がる機会が増えています。特に注目したいのは開放型という構造と120Ωというインピーダンスの高さで、この2点がHD 560Sの評判を音質面でもデメリット面でも大きく左右しています。この記事では、公開されているレビューをもとに、HD 560Sの音質や装着感の評判、HD 6XXやHD 599との比較、購入前に押さえておきたい注意点までを整理します。
- ゼンハイザーのHD560Sの評判は「価格以上の完成度」で一致
- 音質の評判はジャズの高域とEDMの低域の両立にある
- 装着感の評判は240gの軽さと側圧の強さで割れる
- HD6XXとの比較でHD560Sは音場と分離感の評価が上回る
- ゼンハイザーの開放型の系譜でHD560SはHD660Sに通じる解像感を継承
- 駆動のしやすさの評判はインピーダンス120Ωでもアンプ次第で変わる
- 用途別の評判は音楽鑑賞と映像視聴で高評価、FPSはやや不向き
- 購入前に知っておきたい注意点は音漏れと低音の物足りなさ
- ケーブル仕様の評判はリケーブル対応による拡張性の高さ
- HD599(SE)との比較では解像感重視ならHD560Sの評判が高い
- HD560Sの評判は用途を絞れば費用対効果が高いという結論に落ち着く
ゼンハイザーのHD560Sの評判は「価格以上の完成度」で一致
HD 560Sの基本スペックを確認すると、評判の理由が見えてきます。以下の表にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売日 | 2021年4月28日 |
| 価格 | 直販27,500円、公式ストア29,920円(オープンプライス) |
| 構造 | オーバーヘッド型、開放型(オープンバック) |
| ドライバー | 38mm径ダイナミック型 |
| 再生周波数帯域 | 6Hz〜38,000Hz |
| 感度 | 110dB |
| インピーダンス | 120Ω |
| ケーブル長 | 3m |
| プラグ | 6.3mm標準プラグ |
| 重量 | 約240g |
開放型ヘッドホンは、ハウジングに開口部があり、音が外に抜けていく構造になっています。密閉型に比べて音のこもりが少なく、自然で広がりのある音場を再現しやすい一方、音漏れがしやすく周囲の音も聞こえやすいという特徴を持っています。自室でのリスニングや、音楽制作・映像編集などのモニター用途に向いた構造だと言えるでしょう。インピーダンス120Ωという数値は、スマートフォンやポータブルプレイヤーの内蔵アンプだけでは十分な音量・駆動力を引き出しにくい水準です。この点は後述しますが、購入を検討する段階でヘッドホンアンプの併用を視野に入れておくと安心です。
音質の評判はジャズの高域とEDMの低域の両立にある

HD 560Sには、ゼンハイザーが開発したE.A.R.(Ergonomic Acoustic Refinement)という技術が採用されています。ドライバーユニットを人間工学に基づいた角度で配置することで、レコーディングスタジオで音を聴いているかのような定位感を再現する設計思想です。一般的なヘッドホンはドライバーが耳に正面から音を出す構造が多いのに対し、E.A.R.設計ではドライバーの角度を工夫することで、より自然で立体的な音の広がりを実現しています。この設計思想はゼンハイザーの上位モデルにも通じており、HD 560Sが「エントリーモデルでありながら本格的」と評される理由のひとつになっています。
音質面での評判で共通しているのは、モニターライクでどんなジャンルの音楽でもしっくりくるという評価です。ジャズなどトランペットが鳴らされる楽曲では高域が心地よく抜けていき、耳に刺さるような不快感が少ないとされています。EDM系のようにキックが重要なジャンルでも、力強く迫力のある低音を楽しめるという評判です。中域は解像度が高く、ボーカルがしっかりと前に出てきて、息づかいなど細かなニュアンスまで鮮明に聴き取れると評価されています。海外レビューでは「ニュートラルな音より少し明るめ」と表現されることもあり、フラットでありながらわずかに高域寄りのチューニングという評判が定着しているようです。この味付けの薄さが、モニター用途にもリスニング用途にも使えるという評判につながっています。開放型ならではの音抜けの良さと、長時間聴いても疲れにくい点も高く評価されているポイントです。
装着感の評判は240gの軽さと側圧の強さで割れる

HD 560Sは重量約240gと軽量なヘッドホンです。長時間の音楽鑑賞や作業中のBGM再生など、装着したまま長時間過ごすシーンが多いユーザーにとって、この軽さは大きなメリットになります。実際に「最も快適なヘッドホンの一つ」と評価するレビューも見られました。一方で、一部のユーザーレビューでは側圧が意外と強いという指摘もあります。頭の大きさや形には個人差があるため感じ方は分かれますが、購入前に認識しておきたい点です。
デザイン面では、ゼンハイザーの500番台シリーズに共通する堅実なフォルムを踏襲しています。筐体素材はプラスチックが中心ながら、仕上げの工夫によって安っぽさを感じさせない質感を演出しています。ヘッドバンド部分にはベロア素材のパッドが採用されており、クッション部分は上位モデルのHD650シリーズに近い構造を踏襲しつつ、より幅広に作られています。さらにHD660Sのように左右で独立したスポンジ構造を採用していることで、頭部にしっかりとフィットする作りになっています。この構造ゆえに側圧をやや強めに感じるという声もありますが、頭の形に馴染みやすく、軽量ボディと相まって3時間以上の連続使用でも疲労を感じにくいという評判につながっているようです。
HD6XXとの比較でHD560Sは音場と分離感の評価が上回る

HD 560Sを検討する際、比較対象に挙がりやすいのが同じくゼンハイザーの人気モデルHD 6XXです。HD 6XXは名機として知られるHD 650をベースにしたモデルで、海外のオーディオファンから支持を集めています。両者は価格帯も近く、比較レビューが多く存在します。
| 比較項目 | HD 560S | HD 6XX |
|---|---|---|
| 音の傾向 | 中立よりやや明るめ | 中立よりやや温かみがある |
| 低域の質感 | 深みのある低域 | 中低域が持ち上がり聴き疲れしにくいが低域の深みは控えめ |
| 音場・定位 | 音場と定位の正確さに優れる | 600番台特有の閉塞感がやや残る |
| 分離感 | 明確で600シリーズからの改良点と評される | HD 560Sに比べるとやや甘い |
| デザイン・携行性 | スウープ型ヨークと狭めの楕円形イヤーカップでスタイリッシュ | やや大ぶりで携行性は控えめ |
価格差がそれほど大きくない場合、旧世代の温かみのある音を評価してHD 6XXを推すレビューもあります。ただし、緻密な音場表現や明瞭な周波数特性を重視するのであれば、HD 560Sを選ぶ理由は十分にあるでしょう。どちらが上位互換というより、音の好みの違いによって選択が分かれるモデル同士だと理解しておくのが適切です。
ゼンハイザーの開放型の系譜でHD560SはHD660Sに通じる解像感を継承
HD 560Sの実力は、ゼンハイザーが長年築いてきた開放型ヘッドホンの系譜を知ると立体的に見えてきます。この系譜で欠かせないのが、1997年に発売されたHD600です。HD600はゼンハイザー設立50周年記念モデルとして登場し、上級モデルのHD580 Jubileeの量産版として位置づけられたモニターヘッドホンでした。発売当初はプロの現場を中心に使われていましたが、次第にリスニング用途でも高く評価されるようになり、今では名機と呼ばれる存在になっています。
そのHD600をベースに、よりオーディオファン向けにブラッシュアップされたのが2004年発売のHD650です。HD650は開放型ハイエンドヘッドホンのリファレンス的存在として長く愛され続け、現在でも不動のリファレンス機と評されるほどの人気を誇ります。前述のHD 6XXは、このHD650をベースに海外向けに展開された派生モデルにあたります。さらに2017年には、HD650の後継機種としてHD660Sが登場し、開放型モニターヘッドホンの系譜はハイエンド市場でも展開が続いています。
HD 560Sは、こうした600番台の名機の系譜とは異なる、比較的新しい素材のドライバーを採用した独立したラインとして企画されたモデルです。それでも音の分離感や定位の正確さといった点では、上位モデルであるHD660Sにも通じる要素を持っていると評されています。つまりHD 560Sは、ゼンハイザーが長年培ってきた開放型ヘッドホンのノウハウを、より手頃な価格帯に落とし込んだモデルであり、単なる廉価版ではなく独自の存在意義を持つモデルとして設計されていると言えるでしょう。
駆動のしやすさの評判はインピーダンス120Ωでもアンプ次第で変わる
HD 560Sはインピーダンス120Ωとやや高めの数値を持つヘッドホンですが、感度は101dB/mWと比較的高く、ハイエンド機ほど極端に駆動が難しいわけではないという見方もあります。ユーザーレビューの中には、スマートフォンなど内蔵アンプでは物足りなさを感じるものの、専用のヘッドホンアンプに切り替えても音量自体はそれほど大きくは変わらず、1〜2dB程度の差に留まるという報告もあります。
単純な音量以上に、音の解像感や音の締まり、駆動の余裕といった質的な面では、しっかりとしたヘッドホンアンプと組み合わせることで本来の実力をより引き出しやすくなるとされています。据え置き型のプリメインアンプのヘッドホン出力から鳴らして満足度が高かったという声もあり、トーンコントロールなどによる音の追い込みがしやすいという評価も見られます。結論として、HD 560Sはポータブル環境でも一応使用可能ではあるものの、本来の性能を発揮させたいのであれば、出力に余裕のあるヘッドホンアンプやUSB-DAC一体型アンプとの組み合わせを検討する価値があるでしょう。
用途別の評判は音楽鑑賞と映像視聴で高評価、FPSはやや不向き
HD 560Sがどのような用途に向いているか、レビューをもとに整理します。
音楽鑑賞はジャンルを問わず高評価
最も評価が高い用途です。ジャンルを問わず自然でバランスの取れた音を楽しめるため、幅広い音楽ファンに向いています。特にボーカルの解像度の高さや、ジャズ・アコースティック系の楽曲との相性の良さが評価されています。
音楽制作用途はモニターヘッドホンに近い実力
E.A.R.技術による正確な定位感と、味付けの少ないフラットな音質傾向から、宅録や簡易的なミキシング作業にも活用できます。プロ用のモニターヘッドホンほどではないにせよ、モニターヘッドホンに一番近い音の演出と評されるほどの実力を持っています。
映画・映像視聴は広い音場が武器
開放型ならではの広い音場により、映像コンテンツの環境音や臨場感を楽しみやすいという評価があります。長時間の視聴でも疲れにくい点も、映画鑑賞との相性の良さにつながっています。
ゲーム用途はFPSより一般的なプレイ向き
音場が広く定位感も比較的正確なため、ゲームの環境音や空間表現を楽しむ用途には向いています。ただし、爆発音などの低音の迫力は控えめであり、敵の足音を正確かつシビアに聞き分ける必要があるFPS競技シーンでは、定位感に特化したゲーミングヘッドセットの方が有利な場合があるとの指摘もあります。あくまで一般的なゲームプレイや環境音を楽しみたい層に向いたモデルであり、eスポーツ的な精密さを最優先するプレイヤーには専用ゲーミングヘッドセットの方が適している場合がある点は理解しておく必要があるでしょう。
購入前に知っておきたい注意点は音漏れと低音の物足りなさ
HD 560Sは全体的に評価の高いモデルですが、購入前に知っておくべき注意点もいくつかあります。インピーダンスが120Ωとやや高めであるため、スマートフォンやポータブルプレイヤーの内蔵出力だけでは音量が十分に取れなかったり、本来の迫力が引き出しにくかったりする場合があります。据え置き型のヘッドホンアンプなどと組み合わせることで、より本来の性能を発揮しやすくなるでしょう。開放型構造のため音漏れが大きく、電車内やオフィス、リビングなど周囲に人がいる環境での使用には向いていません。自室など周囲を気にせず音を出せる環境での使用が前提になります。側圧については個人差があり、長時間の装着で圧迫感を覚えるという声も一部にあります。さらに、低音の量感は控えめな傾向にあり、重低音を重視するタイプの音楽や、迫力を最優先したいゲーム用途には物足りなさを感じるかもしれません。
ケーブル仕様の評判はリケーブル対応による拡張性の高さ
HD 560Sの付属ケーブルは3mの長さで、ヘッドホン側は2.5mmのロック機構付きプラグ、プレイヤー側は6.3mm標準プラグとなっており、3.5mmミニプラグへの変換コネクタも付属しています。3mというケーブル長は、据え置き型のオーディオ環境でソファやデスクから離れた場所にアンプを置いていても余裕を持って使える長さであり、リスニングルームでの使用を意識した設計だと言えます。
注目したいのは、ヘッドホン側のコネクタが4極2.5mmという、HD5XXシリーズ(HD 599、HD 620Sなど)と共通の規格になっている点です。これにより、社外品やゼンハイザー純正のリケーブル用ケーブルへの交換が比較的容易になっています。実際に、ゼンハイザーからはHD 620S・HD 560S・HD 599共通で使える4.4mmバランスケーブルもオプションとして提供されており、バランス接続に対応したDAPやヘッドホンアンプを持っているユーザーは、より高音質な接続環境を構築することも可能です。付属ケーブル自体も質感が高く、癖がつきにくいという評価がされています。
HD599(SE)との比較では解像感重視ならHD560Sの評判が高い
ゼンハイザーの開放型ラインナップには、HD 560Sより下位に位置づけられるHD 599(および後継のHD 599SE)というモデルも存在し、価格帯が近いこともあってしばしば比較の対象になります。
| 比較項目 | HD 560S | HD 599(SE) |
|---|---|---|
| インピーダンス | 120Ω | 50Ω |
| 感度 | 101dB/mW | 93dB/mW |
| 音の傾向 | 高域の刺激を抑えつつ透明感が高い | 温かみのある中低域 |
| 向いている人 | 解像感や輪郭のはっきりした音を求める人 | 穏やかで聴き疲れしにくい音を求める人 |
スペック面ではHD 599SEのインピーダンスが50Ωと低く、感度が93dB/mWであるのに対し、HD 560Sはインピーダンスが120Ωと高めながら感度は101dB/mWとなっています。数値だけを見るとHD 560Sの方が駆動しにくそうに感じられますが、感度の高さもあり、実際の鳴らしやすさは単純にインピーダンスだけで判断できるものではありません。
音質面では、HD 599(HD 599SE)が温かみのある中低域を持つのに対し、HD 560Sは高域の刺激や強調が抑えられつつも透明感が高く、原盤の情報がより鮮明に伝わってくるという評価がされています。全体的な解像感や輪郭のはっきりした音を求めるならHD 560S、より穏やかで聴き疲れしにくい傾向の音を求めるならHD 599(HD 599SE)という住み分けになっているようです。ただし、HD 560Sの高域は人によっては長時間のリスニングで疲れを感じる場合もあるとの指摘もあり、試聴できる環境があれば実際に聴き比べてみるとよいでしょう。
HD560Sの評判は用途を絞れば費用対効果が高いという結論に落ち着く
ここまで見てきた評判を総合すると、HD 560Sは軽量で装着感の良さを保ちながら、上位モデルのHD 660Sに通じるような解像感を持ったモデルとして位置づけられています。HD 599系からのステップアップ先としても、HD 6XXの対抗馬としても存在感のあるモデルだと言えるでしょう。
音楽鑑賞はもちろん、簡易的な音楽制作のモニタリングや、映画・映像作品の視聴、環境音を楽しみたいゲームプレイまで、幅広い用途で活躍できるポテンシャルを持っています。一方で、インピーダンスの高さによる駆動のしにくさ、開放型ゆえの音漏れ、低音の量感が控えめである点など、購入前に押さえておきたい注意点も存在します。同価格帯で比較されることの多いHD 6XXとの違いを踏まえつつ、自分がどのような音の傾向を求めているか、どのような環境・用途で使用するかを明確にした上で選ぶことで、HD 560Sの評判どおりの満足度を得やすくなるはずです。エントリークラスの開放型ヘッドホンとして、ステップアップを考えているオーディオファンにとって有力な選択肢のひとつであることは間違いないでしょう。