ソニーが2024年10月11日に発売した完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds Open」、型番WF-L910は、耳をふさがないオープンイヤー型として登場しました。装着感の快適さを評価する声が多い一方、音質やフィット感には個人差があるという評判も目立ちます。価格.comのレビューでは満足度が5点満点中3.4点前後にとどまり、万人向けとは言い切れない立ち位置です。この記事では、実際の使用者の声や海外メディアのレビューをもとに、WF-L910の評判を装着感、音質、通話品質、バッテリー、価格の観点から整理していきます。

- 装着感は圧迫感のなさで高評価、フィット感には個人差
- 音質はソニーらしいクリアさと低音不足のせめぎ合い
- 通話品質は静かな環境なら好評、屋外は評価が割れる
- バッテリーは本体8時間、ケース込み22時間で平均的
- 音漏れは平均3.73dBで日常使用ではほぼ気にならない
- 専用アプリSound Connectでワイドエリアタップをカスタマイズできる
- オープンイヤー市場ではAirPods 4やShokz OpenDots ONEと競合
- 骨伝導イヤホンとは音の伝わり方が異なる空気伝導方式
- 上位機種WF-1000XM5との違いはノイズキャンセリングの有無
- 価格.comの満足度は3.4点前後で、装着感の評価によって分かれる
- 前モデルLinkBuds(WF-L900)からは装着感とバッテリー性能が改善
- ランニング用途は装着安定性を試着で確認したほうがよい
- 海外メディアも装着感と機能性を評価、音質はトレードオフと指摘
- 価格は14,000円台から2万円弱、ブラックとホワイトの2色展開
装着感は圧迫感のなさで高評価、フィット感には個人差

WF-L910の評判で最も多く語られているのは、耳をふさがない開放的な装着感です。前モデルのLinkBuds(WF-L900)から装着性が大きく向上したという声が複数のレビューサイトで共通して見られます。耳への圧迫感がなく、長時間つけていても痛くならないという感想は、ソニーの人気モデルWF-1000XM5と比較したレビューでも繰り返し登場しました。
ユーザーモニター調査では、10人中半数が30分間の装着で痛みを感じなかったと報告されています。半数というのは決して満点の数字ではありませんが、カナル型イヤホンで耳が痛くなりやすい人にとっては、試す価値のある結果でしょう。
ただし、装着の安定性については評価が割れています。あるレビューでは「個人差ありの装着感で評価が分かれるリング型ドライバー」と表現され、耳の形状によってフィット感に差が出ることが指摘されました。トレッドミルでのテストでは、頭を傾けた際に装着からおよそ40秒でイヤホンが外れてしまったという具体的な報告もあります。価格.comの口コミでも「フィットする感覚が装着するたびに毎回異なり、ランニング中に外れてしまうことがある」という声が寄せられており、走る用途を主目的にするなら購入前に試着したほうが安心です。
音質はソニーらしいクリアさと低音不足のせめぎ合い

音質の評判は総じて悪くありません。低音には芯があり、中音域はパキッとした質感で厚みがあり、高音も埋もれずにハキハキと鳴るという具体的な感想が複数のレビューで共通しています。Amazonのレビューでも「音質がクリアで、大きな音量にしなくても十分聞き取りやすい」という声があり、オープンイヤー型としては健闘している印象です。
一方で、海外のオーディオメディアSoundGuysは音質の総合評価スコア(MOS)を2.7点とし、低音の量感不足を弱点として挙げました。オープンイヤー型は構造上、耳穴を密閉しないため低音が抜けやすく、音質面で不利になりがちです。この弱点自体はWF-L910固有の欠陥というより、オープンイヤーというカテゴリー全体が抱えるトレードオフとして受け止められています。イギリスのWhat Hi-Fi?も、バランスの取れた中音域を評価しつつ、「同価格帯の他のオープンイヤー製品に音質面で見劣りする部分がある」と指摘していました。
なお、ノイズキャンセリング機能は搭載されていません。電車内や騒がしいカフェでの没入的なリスニングには向きませんが、そもそも周囲の音を聞きながら音楽を楽しむというコンセプトの製品なので、この点は仕様として理解しておく必要があります。
通話品質は静かな環境なら好評、屋外は評価が割れる
WF-L910はソニー独自の「Precise Voice Pickupテクノロジー」を採用し、環境音を抑えながら自分の声を明瞭に拾う設計です。Zoom会議やビジネス通話で使用しても、相手から「声がこもらない」「自然に聞こえる」と好評だったという報告があります。
ただし別のレビューでは「マイク性能も物足りず、声の輪郭がぼやけ気味だった」という指摘もありました。騒がしい環境では通話相手に声が届きにくい可能性があり、通話品質の評判は使用環境によって割れています。静かな室内での会議用途であれば十分な性能を発揮しますが、屋外での通話に過度な期待はしないほうがよさそうです。
在宅勤務でのオンライン会議用途では、耳をふさがない構造がむしろメリットとして働きます。家族の呼びかけやインターホンの音、来客の気配を聞き逃さずに仕事ができる点は、在宅ワーカーから支持されているポイントです。Microsoft Teamsでのウェブ会議を主な用途にしたユーザーのレビューでは、通話に特化した連続使用時間が前モデルから伸び、最大およそ4.5時間の連続通話が可能になったと報告されています。長時間の会議が続く日でも充電を気にせず使えるようになった点は、実用面での改善として評価してよいでしょう。
バッテリーは本体8時間、ケース込み22時間で平均的
バッテリー性能は、本体単体で約8時間、充電ケースを併用した場合は最大約22時間の連続再生が可能とされています。前モデルからの改善点として紹介されることが多い一方、「突出して長いとはいえない」という冷静な評価も見かけます。競合の完全ワイヤレスイヤホンには単体で10時間前後再生できる製品もあるため、バッテリー性能自体は平均的、あるいはやや控えめな部類に入るという見方もできるでしょう。
とはいえ、日常的な通勤や通学、ちょっとした軽い運動用途であれば実用上十分な持続時間です。致命的な弱点として挙げているレビューは少数にとどまり、充電ケースを持ち歩けば外出先でも一日中使い続けられる計算になります。
音漏れは平均3.73dBで日常使用ではほぼ気にならない
オープンイヤー型という構造上、密閉型イヤホンに比べて音漏れのリスクはゼロではありません。価格.comのクチコミ掲示板にも「音漏れしないのでしょうか?」という質問が投稿されており、購入検討者の関心が高いポイントであることがうかがえます。
実際の計測結果では、音漏れレベルは平均3.73dBと小さく、日常的な使用シーンではほぼ聞こえないレベルにとどまるという報告があります。満員電車のような非常に静かな環境や、隣に人が密着する状況では多少の配慮が必要かもしれませんが、通常のオフィスや自宅、屋外での使用であれば大きな問題にはならないという評価が一般的です。
専用アプリSound Connectでワイドエリアタップをカスタマイズできる
WF-L910はソニーの専用スマホアプリ「Sound Connect」に対応しています。旧「Sony | Headphones Connect」から名称変更されたアプリで、Bluetooth接続時に起動すると、接続中のイヤホンの機種名やバッテリー残量、接続コーデックの名称、DSEE(音質補完機能)の動作状況を画面上部で確認できます。
アプリ内ではイコライザー設定の調整、接続デバイスの管理、再生中の楽曲情報の表示、音声操作やボタン機能のカスタマイズなど、幅広い項目を細かく設定可能です。特に、耳周りの顔をタップして操作する「ワイドエリアタップ」の操作割り当てを自分好みに変更できる点は、実際の使用感に直結する部分として評価されています。ソニーは本体ソフトウェアのアップデートも継続的に配信しており、発売から時間が経過した現在も機能改善や不具合修正のアップデートが複数回リリースされました。
さらに、2台のBluetooth機器を同時に接続できるマルチポイント接続にも対応しています。タップ操作や音声コマンド、アプリからの操作で接続先を切り替えられるため、仕事用のPCとプライベートのスマートフォンを併用しているユーザーには使い勝手のよい機能です。iPhoneとAndroidを同時に登録して使い分けることもできます。
オープンイヤー市場ではAirPods 4やShokz OpenDots ONEと競合
耳をふさがずに周囲の音を聞きながら音楽や通話を楽しめるオープンイヤー型イヤホンは、完全ワイヤレスイヤホン市場の中でも急速に注目度を高めているカテゴリーです。通勤や通学中に車の接近音や人の呼びかけを聞き逃さず安全に使える点、長時間装着していても耳が疲れにくい点が支持され、ながら聴き需要の高まりとともに各社が新製品を投入しています。
競合としては、Appleの「AirPods 4」(ノイズキャンセリング非搭載モデルで21,800円、搭載モデルで29,800円)のほか、EarFun ClipやShokz OpenDots ONEといった耳かけ式やクリップ式のオープンイヤー製品も人気を集めています。WF-L910は、こうした群雄割拠のオープンイヤー市場において、リング型ドライバーという独自技術とソニーならではの音作りのノウハウで差別化を図っているモデルです。
耳栓のように耳穴に挿入するのではなく、耳の付け根部分に本体を乗せる形で装着する点も特徴で、他社のクリップ式や耳かけ式製品とは装着方式が異なります。この装着方式の違いが、耳の形状によってフィット感に個人差が出やすいという評価につながっているとも考えられます。
骨伝導イヤホンとは音の伝わり方が異なる空気伝導方式
オープンイヤー型イヤホンには、WF-L910のようにドライバーから出た音を空気の振動として鼓膜に届ける空気伝導方式と、振動を頭蓋骨から内耳に直接伝える骨伝導方式の2種類があります。骨伝導方式は振動を耳小骨に送り、蝸牛内のリンパ液を揺らして音として認識させる仕組みで、鼓膜を介さずに音が聴こえるのが特徴です。
装着方法にも違いがあります。骨伝導イヤホンの多くはネックバンドタイプで、後頭部を通して頬骨やこめかみに振動子を当てる構造のため、安定性が高くスポーツ時にもずれにくいとされています。一方、WF-L910のような空気伝導のオープンイヤー型は耳の付け根に本体を乗せる方式で、圧迫感の少なさでは有利ですが、装着安定性という点では骨伝導方式に一歩譲る面があります。前述のとおりWF-L910の装着感に個人差があるという評判は、こうした空気伝導方式ならではの装着構造とも関係していると考えられます。
音漏れの傾向についても、空気伝導方式は耳をふさがない状態でスピーカーから音を出すため、一般的な密閉型イヤホンよりも音漏れしやすい構造です。WF-L910の音漏れが平均3.73dBにとどまっているのは、この空気伝導方式というカテゴリー全体の傾向を踏まえると、比較的抑えられている数値だといえるでしょう。
上位機種WF-1000XM5との違いはノイズキャンセリングの有無

ソニーのラインナップの中で比較されることが多いのが、ノイズキャンセリング搭載の上位モデルWF-1000XM5です。両者は設計思想がまったく異なります。WF-L910はリング型の開放ドライバーを採用し、耳穴を完全に塞がない構造で、ノイズキャンセリング機能や外音取り込みモードは搭載されていません。対してWF-1000XM5はカナル型で耳をしっかり密閉し、強力なアクティブノイズキャンセリング機能を備えたフラグシップモデルです。
音質処理についても、WF-L910は通常のDSEEを採用しHi-Res Audioには非対応である一方、WF-1000XM5はより高度な音声処理技術に対応しています。価格帯もWF-L910のほうが手頃で、WF-1000XM5はプレミアムモデルとして高価格帯に位置づけられます。
周囲の音を聞きながら快適に使いたいならWF-L910、外部の音を遮断して音楽に没入したいならWF-1000XM5という棲み分けがはっきりしているので、自分がイヤホンに何を求めるかで選ぶモデルを決めるとよいでしょう。
価格.comの満足度は3.4点前後で、装着感の評価によって分かれる
価格.comのレビューページでは、ブラックモデルの満足度評価が5点満点中3.42点(14件のレビュー)、ホワイトモデルが3.24点(12件のレビュー)となっており、評価はやや分かれる傾向にあります。
具体的な口コミでは、装着感について前述のとおり「装着するたびに感覚が異なる」という指摘がある一方、デザイン面では「耳にきれいに収まり、いわゆる耳うどんのような見た目にならず、スマートな装着感がある」と好意的に評価する声もありました。通話用途についても「Web会議やTeamsのミーティングで使う分には十分な音質」という声がある一方、付属の充電ケースについては「作りの質感がやや安っぽく、充電端子の収まりが甘い」という細かな不満点を挙げるレビューも見られます。テレワークでのオンライン会議用途として選ばれるケースが多いものの、装着感の好みについては個人差が大きく分かれている製品だとわかります。
前モデルLinkBuds(WF-L900)からは装着感とバッテリー性能が改善
WF-L910は、初代LinkBuds(WF-L900)の後継モデルにあたります。装着感、音質、バッテリー持続時間のいずれについても、前モデルで指摘されていた課題が改善されているという評価が共通しています。
前作でネックとされていた「耳から外れやすい」「音質がやや物足りない」「バッテリーが持たない」といった不満点は、リング型ドライバーの改良や本体設計の見直しによって解消の方向に進んだと分析されています。初代LinkBudsを使っていて不満を感じていたユーザーにとっては、買い替えの価値が十分にある製品といえるでしょう。
ランニング用途は装着安定性を試着で確認したほうがよい
オープンイヤー型は、周囲の音を聞き取りながら運動できる安全面のメリットから、ランニングやウォーキングユーザーからの関心も高い製品です。汗や雨を気にせず使える防滴性能を備えている点も、スポーツ用途との相性のよさを裏づけています。
ただし前述のとおり、激しい動きの中での装着安定性については評価が割れます。トレッドミルでのテストでは頭を傾けた際に短時間で外れてしまったという報告がある一方、日常的なジョギングやウォーキング程度であれば問題なく使用できているという声もありました。耳の形状や運動強度によって体感が大きく異なる可能性があるため、激しいスポーツでの使用を検討しているなら、試着や返品保証のある販売店での購入を検討するとよさそうです。
海外メディアも装着感と機能性を評価、音質はトレードオフと指摘
海外の主要なオーディオ専門メディアでも、WF-L910は数多くレビューされています。イギリスのWhat Hi-Fi?は、快適で安定した装着感、バランスの取れた中音域の再現性、外部の音を自然に取り込める開放的な設計を長所として挙げつつ、音漏れがあり外部のノイズも入り込みやすい点を短所として指摘しました。総評は「巧妙に設計され、非常に快適で機能も充実している一方、音質面では避けられないトレードオフがある」というものです。
Android Policeのレビューでは装着感について厳しめの評価も見られ、耳にとって負担になり得ると表現されるなど、装着感の評価は媒体によっても分かれています。快適な装着感と豊富な機能を評価する声が多い一方、音質面でのトレードオフと装着感の個人差は、海外レビューでも繰り返し指摘されるポイントです。
価格は14,000円台から2万円弱、ブラックとホワイトの2色展開
WF-L910の価格は発売から時間が経過するにつれて変動しており、価格.comの最安値は14,044円前後という情報がある一方、時期や販売店によっては19,499円程度で取引されているケースも確認されています。家電量販店、Yahoo!ショッピングのeイヤホン店、ソフマップ、エディオン公式通販など複数の販売チャネルで取り扱われているため、購入時にはいくつかの店舗の価格を比較したほうがよいでしょう。
カラーはブラックとホワイトの2色展開です。本体重量は片耳約5.1gで、前モデルの約4.1gよりやや重くなったものの、充電ケース込みでも約30.6gと軽量に作られており、持ち運びのしやすさも評価されているポイントの一つです。
WF-L910の評判を総合すると、耳をふさがないオープンイヤー型イヤホン特有の「音質面でのトレードオフ」と「装着感の個人差」という弱点を抱えつつも、ソニーらしい音作りへのこだわり、Sound Connectアプリによる細かなカスタマイズ性、マルチポイント接続などの実用的な機能性で支持を集めている製品です。前モデルからの改善点が明確に評価されている点も、買い替えを検討するユーザーの背中を押す材料になっています。在宅勤務や外出先で周囲の音を聞き逃したくない人、長時間のイヤホン装着で耳が痛くなるのを避けたい人には向いていますが、電車移動での騒音遮断や激しいスポーツでの安定性を最優先するなら、ノイズキャンセリング搭載モデルやカナル型製品も比較検討する価値があります。